屋上緑化とは何か、そして、屋上緑化をする時に注意すべき点ついてご紹介しています。
屋上緑化とは、屋根や屋上に植物を植え緑化することです。屋上を緑化することにより、緑化土壌の断熱作用や植物自体が日射を遮ることによる、屋内の温度上昇抑制や省エネ効果だけでなく、植物の蒸散作用によって屋外空間の温度上昇を緩和するヒートアイランド効果も期待できます。
つまり、屋上緑化がもたらす熱環境の改善は、室内環境の改善や経済的な効果から快適な屋上空間の創造、都市全体の環境改善効果など、様々な効果をもたらすのです。
身近なところでは以下の様な効果があります。
1.ヒートアイランド現象の緩和効果
都市高温化の現象、ヒートアイランド現象の緩和に貢献できます。
常緑キリンソウは多肉植物ですが水分を充分保水しているときには昼間気孔を開いて光合成をするので昼間蒸散します。
セダム類は、夜間気孔を開いて光合成をするので、蒸散効果がほとんどないと言われています。夜間は昼間に比べて気温が低いので、気孔から水分が蒸散する割合がとても低くなります。だから、セダム類は暑さに強いといわれるのです。
逆に水をあげすぎると蒸散できず根腐れを起こして枯れてしまいます。(常緑キリンソウも水分が少ないときには、しっかり保水する為に夜間気孔を開いて光合成をします。)
2.省エネルギー効果
夏季の温度上昇の軽減(遮熱)、冬季の保温効果(断熱)で省エネ効果を発揮します。
断熱処理した屋根の下で天井の表面温度を計測してみました。
屋上緑化有り部分と無し部分では、最大4℃の差がありました。
たかが4℃かもしれませんが、38℃のお湯と42℃のお湯では入浴時にかなりの差を感じます。
屋根の下の部屋が暑く、冷房の利きが悪い理由がおわかりいただけるかと思います。
3.建築物の保護効果
酸性雨、紫外線による防水層の劣化、温度変化による建物の劣化を防止します。
紫外線や酸性雨にさらされていない屋上緑化部分の押さえコンクリートがほとんど劣化していない事が一目瞭然です。アスファルト露出防水やウレタン防水等も紫外線や酸性雨から守られれば劣化具合は遅くなる頃が予想できます。
また、RC造の場合、屋上緑化が、屋根を上から断念材として覆うので、コンクリート内部の鉄筋への熱の伝わりも少なくなり、鉄筋の熱による伸縮も少なくなると予想されます。
つまり建物自体の保護にも役立つという事です。
4.雨水流出の緩和効果
土壌が保水する為、雨水流出の遅延・緩和、都市型水害の防止に貢献できます。
常緑キリンソウ袋方式は、標準サイズ500×500mmのFTMバッグ1袋で約2リットルの水を吸収します。1㎡に換算すると8リットルの水を吸収・保水し、都市型水害防止に貢献します。
5.癒しの効果
緑には精神の安定、肉体疲労の回復促進、ストレス解消効果があります。
6.教育的効果
エコスクール、環境教育の場として活用できます。
屋上緑化システム 常緑キリンソウ袋方式は、特殊な技術が不要です。培養土入りの袋が8kg/袋(乾燥時)程度なので、中学生であれば荷揚から植栽・設置まで簡単に屋上緑化を体験できます。環境教育資材の一つとしてお使いいただけます。
7.空気の浄化効果
植物により空気清浄化効果を発揮します。
8.防火防熱効果
屋上緑化、壁面緑化、外構の緑化により延焼防止効果が期待できます。
9.二酸化炭素(CO2)削減効果
植物は光合成を行うことで二酸化炭素を酸素に変えることができます。
10.空間演出効果
緑化を行うことで新しい空間を創出します。
これ以外にも、緑化は、人や地球に色々な喜びを与えこめてくれます。
屋上緑化はどの位施工されているのか
屋上緑化や壁面緑化は、都市におけるヒートアイランド現象の緩和、美しく潤いのある都市空間の形成、都市の低炭素化等の観点から、全国的に取り組みが進められています。国土交通省では、平成12年から全国の屋上・壁面緑化の施工実績調査を行っています。
調査を開始した平成12年から令和2年の21年間の合計で、屋上緑化は約557ha(東京ドーム約118.5個分,東京ドーム=約4.7ha)、壁面緑化は約109haが創出されました。(令和4年1月18日発表)
※調査は最大3年間遡った回答を依頼しているため、令和元年、令和2年データは暫定値であり、今後数値が変わる可能性があります。
下記に国土交通省・報道発表ページへのリンクを掲載しました。詳しい内容をお知りになりたい方は、該当年度をクリックしてください。と別画面で国土交通省のサイトが開きます。
令和3年分の屋上緑化・壁面緑化実績結果 発表サイト→2021年分
令和2年分の屋上緑化・壁面緑化実績結果 発表サイト→2020年分
令和1年分の屋上緑化・壁面緑化実績結果 発表サイト→2019年分
平成30年分の屋上緑化・壁面緑化実績結果 発表サイト→2018年分
平成29年分の屋上緑化・壁面緑化実績結果 発表サイト→2019年分
平成28年分の屋上緑化・壁面緑化実績結果 発表サイト→2017年分